マガキ浮遊幼生

海水中に放出された卵と精子は海水中で受精します。卵の直径は約50μmです。
受精直後から卵割が始まりトロコフォア幼生を経て,翌日に面盤を持つベリジャー幼生(およそ70μm)になります。

ベリジャー幼生

ベリジャー幼生の面盤とは,繊毛を持つ面状に広がった組織です。二枚貝の幼生の場合,二枚の殻の間からこの面盤を出して繊毛を盛んに動かして遊泳します(動画)。マガキの初期の幼生はアルファベットのDの形をした殻を持っているので「D型幼生」とも呼ばれます。

プランクトンネットなどで濾しとるなどの刺激を浮遊幼生に与えると,幼生は面盤を殻の中に引き込み殻を閉じて沈んでしまいます。殻を閉じると海水から取り出しても乾燥しなければしばらくは死にませんし,再び海水に戻すと面盤を出して遊泳を始めます。マガキ浮遊幼生は成長にともない,蝶番の部分の殻が大きく外側に張り出した「アンボ(umbo)期幼生」になります。

ペディベリジャー幼生

殻の大きさがおよそ300μmくらいになると「ペディベリジャー幼生」と呼ばれる付着期幼生になります。この幼生は付着という一大イベントに必要な新たな器官,「眼点」と「足」が形成されます。まず,眼点は光を感知する器官と言われており,殻の中央部の透明な殻を通してくっきりと黒い点を見ることができます。次に,足は突き出して遊泳しながら,接触した基質の表面をカタツムリのように這いまわるのに使います。どちらもその後の一生を左右する付着先を探して決定するために必要な器官だど言われています。

浮遊幼生から付着稚貝へ

マガキの産卵から付着稚貝までの期間は,水温や餌の状況で異なりますが,普通,海域では2週間程度,人工飼育で成長が遅い場合でも3週間程度です。実際の海域では夏の時期の2週間程度の間,動物プランクトンとして表層を浮遊しつつ成長してどこかに付着してようやく稚貝になることができるわけです。

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